= EpiSode.1 =

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 その声はゆっくりで、おろおろとしていてた。  詩音は立ち上がって布に包まれた少女を改めて見る。とても穏やかな目をして。 「あぁ、構わないよ。それに怪我してるみたいだし」  少女の左手側の布についた血を見て言う。あまり驚いてない様子から、擦り傷か何かだと思っている。  少女は血のついた方を一目見て、座ったまま布が落ちぬよう強く握りしめる。 「でも、私……今ここから出たくない」 「どうして?」  少女はより布を強く握りしめる。握った辺りは細い皺がたくさん走った。 「嫌なの。みんな、見てくる……私を。変な目で」  それは少女の外見に問題があると誰が見てもわかる。容姿ではなく、その汚れた布が原因であると。  少女は立ち上がり、続けて言う。悲しげな顔をして。 「これがなくても、見てくるの……」  原因はわかっているらしく、布をバサッと落とす。現れたらのは白をベースに黒いラインがある半袖半ズボン。  それはピチッとしていて少女のスレンダーな身体が露になっている。足は裸足で泥だらけ。  白い髪は思いの外長く、腰下まである。  これでは布がなくとも、注目を嫌でも浴びてしまう。
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