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その声はゆっくりで、おろおろとしていてた。
詩音は立ち上がって布に包まれた少女を改めて見る。とても穏やかな目をして。
「あぁ、構わないよ。それに怪我してるみたいだし」
少女の左手側の布についた血を見て言う。あまり驚いてない様子から、擦り傷か何かだと思っている。
少女は血のついた方を一目見て、座ったまま布が落ちぬよう強く握りしめる。
「でも、私……今ここから出たくない」
「どうして?」
少女はより布を強く握りしめる。握った辺りは細い皺がたくさん走った。
「嫌なの。みんな、見てくる……私を。変な目で」
それは少女の外見に問題があると誰が見てもわかる。容姿ではなく、その汚れた布が原因であると。
少女は立ち上がり、続けて言う。悲しげな顔をして。
「これがなくても、見てくるの……」
原因はわかっているらしく、布をバサッと落とす。現れたらのは白をベースに黒いラインがある半袖半ズボン。
それはピチッとしていて少女のスレンダーな身体が露になっている。足は裸足で泥だらけ。
白い髪は思いの外長く、腰下まである。
これでは布がなくとも、注目を嫌でも浴びてしまう。
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