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(何やってんだ、僕は……。家来る?なんて、何誘ってんだよ。そんなつもりとかなかったのに)
押さえる手で黒髪をぐしゃぐしゃっとする。大きく息を吸い込み、吐き出す。
(あぁ……でも、誰かを自分から誘うの久しぶりかも)
気の抜かれたように、ぼんやりとする詩音。そこへ青い服に包まれた少女が来た。だぼだぼとしていて少しばかり大きく見える。
着ていた服は綺麗に畳んで持っていた。
「んじゃあ、行こうか。その服は袋に入れたらいいよ」
そう言って手を膝に置き、ゆっくりと立ち上がる。
「ねぇ、変じゃない?私……」
あいた手を胸にあてて、弱い声で尋ねる。そんな少女に詩音は軽く腰に手をあてて言う。
「別に変じゃないよ。そんな人たくさんいるから、気にしなくてもいいよ」
笑いかけると少女は少し安心した顔をする。
2人は暫く何の会話もなく、歩き続ける。
薄暗く足場もそんなに良くはない、この路地。何年前のものか、誰が捨てたのかもわからないゴミ。
転がった空き缶やペットボトル等は出口に近く成る程、量は増える。風でこの路地に舞い込んでるようだ。
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