= EpiSode.1 =

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 詩音はリビングで茶色のシックなソファーに座り時計に目を向ける。針は2時30分前を示す。  広い割に家具等はあまりなく、棚の上も片付いている。 (女子って、こんなに風呂長いの?もう40分たつぞ……)  肘をテーブルにつけて指を交差させる。そこに顎をのせて暇そうに目の前のマグカップを見る。  ゆらゆらと湯気をたててるが、もう冷めているようだ。 ――今から1時間前――  青い屋根の一軒家の前に着く。少女は回りをキョロキョロと珍しそうに見ている。 「着いたよ。入って」  そう言って玄関の扉を開けて少女に声をかける。  少女は家に入るなり、またキョロキョロと辺りを見る。扉を閉じた詩音は少女の横を通って靴を脱ぎ、廊下に上がる。 「ごめんなさい……あなたの服が」  左手首辺りの袖が赤黒くなっているのを見て、少女は謝罪をする。ズボンの裾もやや汚れている。 「謝らなくていいよ。洗えば大丈夫だし……」  少女を見て次の言葉をどうするか悩む詩音。
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