1人が本棚に入れています
本棚に追加
詩音はリビングで茶色のシックなソファーに座り時計に目を向ける。針は2時30分前を示す。
広い割に家具等はあまりなく、棚の上も片付いている。
(女子って、こんなに風呂長いの?もう40分たつぞ……)
肘をテーブルにつけて指を交差させる。そこに顎をのせて暇そうに目の前のマグカップを見る。
ゆらゆらと湯気をたててるが、もう冷めているようだ。
――今から1時間前――
青い屋根の一軒家の前に着く。少女は回りをキョロキョロと珍しそうに見ている。
「着いたよ。入って」
そう言って玄関の扉を開けて少女に声をかける。
少女は家に入るなり、またキョロキョロと辺りを見る。扉を閉じた詩音は少女の横を通って靴を脱ぎ、廊下に上がる。
「ごめんなさい……あなたの服が」
左手首辺りの袖が赤黒くなっているのを見て、少女は謝罪をする。ズボンの裾もやや汚れている。
「謝らなくていいよ。洗えば大丈夫だし……」
少女を見て次の言葉をどうするか悩む詩音。
最初のコメントを投稿しよう!