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「さぁ、来るんだ」
そう言って男が白布に歩み寄ると、白布は襲い掛かるように男に向かって飛び、勢いよく左手を右上から振り下ろした。
交わしたが男の頬に軽い痛みが走る。触ると手には微量ながらに血がついていた。
白布の手を見ると、左手からは血が滴っている。よく見ると果物ナイフのように鋭く尖ったガラスの破片を手にしていた。
髭面の男は銃を取り出し、銃口を白布へと向ける。白布は部屋の中へと後退りを始めたが男は銃を手に距離を縮める。
「お前は扉の前で待て、仲間を呼べ」
「……わかった」
若い男はふてくされた顔をし、呟く。
髭面の男は白布を壁際まで追い込むと、一発だけ発砲した。壁はえぐれ、またそこからひびが走る。
「次は当てるぞ。撃たれたくなければ、そのガラスを捨て、3秒以内にその場に手をつけ」
その声は荒れ果てた部屋に小さく響き、カウントダウンを始める。
すると諦めたように白布はガラスを捨て、手を煤けた床にゆっくりとつけた。
「意外と素直だな」
髭面の男もまたニッと笑い、腰にある手錠を手に白布へと歩み寄る。
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