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広大な面積を誇る第4都市。そこは数多の教育機関が密集する、いわゆる学園都市。
その中でも特に大きな5年制の学校、三景堂【みけいどう】学園は今、冬休みが始まろうとしている。
先生の号令とともに早々と教室を出て行く者、友達と集まり会話する者と様々だ。
最前列に座っている黒い髪に黒い瞳の少年、風峯詩音【かざみね しおん】は窓の外を見ていた。
東正門は大勢の冬休みを賑わう生徒で地面が見えない。
「何、ボーッとしてるの」
話しかけたのは隣席にいる幼なじみの少女桐道玲奈【とうどう れいな】。
腰まである栗色の髪はハーフアップに整えられている。
「あの中帰るのは嫌だな、って考えてたんだ」
座ったまま手を前に伸ばし、詩音は鼻で笑って答える。
「だと思った」
わかっていたような顔して、玲奈は窓に背もたれてクスッと笑った。
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