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「今日は遠回りだけど、西から帰ろうかな。どうするの?」
詩音は玲奈に問いかけると席を立ち上がる。後ろのロッカーに置いてある体操服を取ってくると丸めて横にかけてある手提げ袋に入れた。
「午後からピアノ入ったから、お母さんが向かえに来るみたい」
少しため息混じりだ。それから続けて口をあっと開く。
「これ昨日作ったの。作りすぎて余っちゃった」
玲奈の鞄から取り出されたのは、青いリボンのついた少し大きめの茶色い袋。中にはお菓子が入っているようだ。
「……作りすぎだろ。鞄に入るかなぁ」
詩音が持つ鞄は小型のショルダーバック。入れることは出来たがパンパンに膨れ、少々形が不細工になった。
黒のマフラーを巻き、その鞄を背負うと手提げ袋を持った。
「じゃあ、帰るよ。ありがと」
「うん、またね」
お互い顔を見て笑い短く手を振る。
詩音は廊下に出て階段に向かう。土足制の学校なだけに土がよく落ちている。
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