653人が本棚に入れています
本棚に追加
ピピピ、ピピピ、ピピピ………
聞き慣れた、目覚ましのアラームが鳴り響く。
ーーーあー、朝だぁ……起きないと。
頭ではちゃんとわかっているのに、身体はすぐに動いてくれない。
薄目を開けて確かめると、外はまだ薄暗い。
ーーーん……まだ……もうちょっと。
あと5分……5分だけだから。
頭の中。
自分に言い訳をしながら、手探りで目覚まし時計を探す。
ーーー時計……時計……どこ?
使い慣れた目覚まし時計。
私が小学校に入学した時に買ってもらった物で、もう10年間愛用している年季の入った代物。
ピピピピピ!ピピピピピ!ピピピピピ!………
すっかり耳に慣れたアラーム音。
時計の色そしてフォルム。もちろんスイッチの位置だって、目を瞑ってたってわかる。
ーーーどこ?……あ、あった。
サイドボードの上ーーー指の先に時計の感触が触れた。
アラームの音は徐々に大きくなるタイプのもので、まるで早く起きろとでもいうように、時計はけたたましい音を響かせている。
私の手が、ガッチリと目覚ましのフォルムを捉えた、その時ーーー。
しっかり掴んだはずの目覚まし時計はスルリと私の手から抜けて、あれほど騒がしかったアラーム音はピタリと止んだ。
最初のコメントを投稿しよう!