プロローグ 2度目の春

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   こうなるまでには、色々あって……。  と、言うのも、お父さんの転勤が急に決まって、私達は危うく『遠距離恋愛』になりかけた。  充実した学校生活。  大切な友達。  やりがいを見つけた、モデルの仕事。  そして……。  かけがえのない存在……アキ。  何もかも手放したくない私は両親にお願い……ううん、懇願した。 「どうか、一人暮らしを許して欲しいの」と。  わがままだって……そんなのとっくにわかってる。  遠距離恋愛だって今どき珍しくないし、きっと……頑張れば、乗り越えられない事はないって思う。  けど。  それでも、どうしても言わずにいれなかった。  こんなにも強く自分の気持ちを主張したのは、初めてだったかもしれない。  けれど、結果はNO。  まだまだ子供だと判断された私は、両親に一人暮らしを許してもらえなかったのだ。  あわや遠距離恋愛かと、もう離れるしかないのかと思った矢先、アキ自ら私と一緒に暮らしたい、離したくない……と頭を下げてくれた。  私の両親に正面から向き合ったその真摯な眼差しとアキの想いに、隣で聞いていた私の胸は震えた。  そして、その言葉に胸をうたれたのは私だけではなかったらしい。両親は態度を一変ーーー  私をこちらに残す事を『アキと私が一緒に暮らすのならば』という条件付きで許可してくれたのだった。  
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