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生徒会室の隅っこで一人。
貰った絆創膏を手のひら、親指の付け根部分にペタリと貼る。
小沢先輩がくれた絆創膏は、普通よりもかなり大きめサイズのものだった。
小沢先輩は傷の部位や大きさに合わせた何種類かの絆創膏を常備してるらしく、先輩は私の手のひらの傷に合ったサイズのものを渡してくれた。さすが保健委員長、準備がいい。
小沢先輩はその後、ありがたくも貼ろうかと申し出てくれた。と、同時に召集がかかって行ってしまったんだけど。
一人で貼った絆創膏だったけど、なかなか上手に貼れたと思う。絆創膏の中央部はちょっぴり血が滲んでいる。
生徒会副会長を引き受け、今日から正式に生徒会役員の一員として頑張ろうとしていただけに、ちょっぴり出鼻を挫かれた気分。
けど、皆さん友好的だし、親切。
小沢先輩も、そう。
『ただ手伝う人(雑用)』から『副会長』になったわけだけど……ありがたい事に、皆さん今までと変わらず接してくれてる。
ありがたい、
けど、なんか引っ掛かる。
「桃谷さんは、もう、ホント……居てくれるだけでいいから」
「仕事は……今までみたいな感じで、十分だから!」
生徒会の先輩達の言葉に「あ……、はい」と、とりあえず答える。
今の、ままで十分?
本当に?
本当にそれでいいのかな、私。
生徒会室の中央では、明日以降のオリエンテーションの役割の確認作業の真っ最中。会長の日高先輩を中心に、数名の輪が出来ている。
今日から正式に生徒会役員になった私に、もちろん重要な役割なんてない。
しかしぼんやり座っているのもどうかと思って、何かできることはないか、と立ち上がったその時、
「ごめんなさいー桃谷さん。これ、コピーお願いできる?これとこれと……あとこれも。各50部ほど……大至急なの」
「あっ、はい。各50部ですね」
プリントを確認しながら受けとる。
「悪いわね……いつも雑用頼んじゃって」
「いえ。大丈夫です。では行ってきます」
やれることは、何でもやる!
そう決めたでしょ、と頬をペシリと叩いた。
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