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「美夕里。」
蕩けるような甘い吐息交じりで呼ばれ、顎をそっと持ち上げられる。
指先が涙を優しく拭っていく
「俺に言って、泣いてる理由…」
彼の目を見るも、すぐにぼやけて見えなくなる
彼は私をしっかり捉えている
「なんでキスし…」
さっきまで考えていた事と違う言葉が落ちていく
「えっ…」
彼にもしっかり聞こえたようで、忽ち顔が真っ赤になる
「寝てたと…、起きてたの?」
少しうなづくと、彼は顔を逸らしたが、耳まで真っ赤だった。
その様子を見ると、もしかして
「あれはつい…可愛くて。寝てる隙に勝手にするとかほんとに俺…ごめん。」
彼が言った二度目のごめんは、嬉しくて、つい微笑んだ。
「やっぱ、美夕里には笑って欲しい。」はじめは優しげに、終わりには決意じみた強い眼差しで。
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