46人が本棚に入れています
本棚に追加
そうこう考えているうちに、
「川西能勢口~」
と終点に着くことを車掌特有の独特なアナウンスで流れる。
今日も知り合う事ができないのか…
少しやりきれなくなる
何かチャンスはないものか
と彼女と距離があかないようにゆっくり電車を降りる
すると突然背中にドンと何かがぶつかってくる
体を押された瞬間、忘れたくても忘れられないあのバラの匂い
まさかと思い、
ゆっくり振り返ると
目の前にいたのは
なんと彼女だった
俺はびっくりしていると、彼女の後ろにいた化粧の濃いおばさんが彼女を押しのけて先に歩いていく。
そこで、あぁ~あの人に押されて彼女は俺の背中にぶつかったんだな
と事情がわかる
彼女は眉を下げて
「すいません。」
と申し訳なさそうに謝ってくる
はじめて聞いた彼女の声は涼やかで
この暑い夏の朝でも、せせらぎを感じさせる心地好いものだった
しばし陶酔した後、我に帰ると彼女にたいして何も返事をしていない情けない男がいた
焦りながらも、一瞬色々な考えが頭を霞めたが、うまく実行できず
「全然大丈夫ですよ。あなたも大丈夫ですか?」
と当たり障りない事をしゃべっていた
最初のコメントを投稿しよう!