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ミュラーは小夜を連れ自分の部屋へともどった。
ミュラー「さ、入りたまえ」
小夜「…」
小夜は言われるがままミュラーの部屋へと入った。
「おや?お客人ですかな?」
部屋に入ると一人の男が椅子に座りコーヒーを飲んでいた。
小夜はコーヒーを飲む男に目を向けた。
ミュラー「紹介しよう…」
ミュラーがその男を紹介しようとしたが先に小夜が口を開いた。
小夜「五百部大佐…」
ミュラー「おや?知っているのかな?」
小夜にとっては直接知り合いではなかったが、東地区の戦車乗りなら誰もがしっている人物だった。
五百部「娘さんとは初対面のはずだが…私を知っているのかな?」
小夜「私は東地区の戦車乗りです…東の戦車乗りで貴方を知らない者などおりません…」
五百部は東地区のパンツァーエースで、彼にはどんな作戦も通用しないとまで西地区や北地区の戦車乗りに言わせ、ラーズグリズと通り名まで付いた人物だった。
五百部「成る程…私のような戦車乗りの端くれでも知っていてくれる人がいたとはね、それがこんな美しいお嬢さんとは光栄だよ」
小夜「しかし五百部大佐は戦闘中に行方不明になったと聞きましたが…」
五百部「その通り、そこにいるミュラー大佐にコテンパンにやられてね、ご覧の通り捕虜になってしまったよ」
五百部はコーヒーの香りを楽しみながら、少し嬉しそうに言った。
ミュラー「何をおっしゃいます五百部殿、私は幸運に恵まれ貴方に勝利しただけですよ、本来であれば捕虜になっていたのは私の方ですよ」
五百部「ミュラー殿、運も実力の内ですぞ」
会話をするミュラーと五百部はとても楽しそうに話していた。
小夜「しかし五百部大佐…捕虜になったのでしたら何故こんなところでコーヒーを?」
小夜はもっともな疑問を五百部に投げ掛けた。
五百部「ミュラー殿の計らいでね、昼間は何時もここでコーヒーをい頂いているのさ」
小夜「はあ…」
ミュラー「何故捕虜が?と言った顔をしているね?」
ミュラー「捕虜も同じ人間、ましてや五百部殿のような士官クラスの人には士官クラスの扱い方があるだけさ」
小夜「そう…」
小夜とミュラーが話していると五百部が割って入った。
五百部「ミュラー殿、それはそうとお嬢さんに服を着せてはもらえないだろうか…目のやり場に困ってしまいます」
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