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―3か月後―
小夜は捕虜交換で、東地区に帰ることとなった。
しかし高階級の上、東のエースの五百部は捕虜交換の対象外だった。
小夜「大佐残念です…大佐こそが東地区に必要な人なのに…」
五百部「今回は運がなかったね、私はまたの機会に帰るとするよ」
落ち込む小夜に五百部は笑顔で言った。
しかし小夜にはわかっていた。
五百部の様に敵に回すと驚異になりえる人間は、余程のことがない限りもう帰れないと…その先に待つのは死だと…
ミュラー「五百部大佐は私が責任を持って保護しよう…だから安心して帰りたまえ」
ミュラーは小夜にそう言うと、護送車まで小夜を案内した。
今の小夜にはミュラーの言葉を信じるしかなかった。
小夜「…世話になったわね」
小夜はミュラーに言った。
ミュラー「いや…此方の方こそあんな酷いことをしてすまなかった…」
小夜「別に貴方が悪い訳ではないし、気にもしてないわ…」
ミュラー「そうか…そう言ってくれると助かる…」
ミュラー「1つ五百部大佐から言伝がある」
小夜「大佐から?」
ミュラー「ああ、五百部大佐にはお嬢さんが一人いるらしいのだが…身内が大佐しかおられないそうだ」
ミュラー「五百部大佐が捕虜にされてしまっている以上…路頭に迷っている可能性が高い…そこで君に五百部大佐の娘さんを保護して一人で食べていけるように鍛えて欲しいとのことだ…」
小夜「つまり…戦車乗りにしろと?」
ミュラー「ああ…このエデンでは余程幸運でもない限り、戦場にでるか体を売るかしか生きる道はないからね…」
小夜「分かった…大佐には私が必ず娘さんを保護すると御伝えして…」
ミュラー「必ず伝えておこう…」
そう言うと小夜は護送車に乗り西地区をあとにした。
護送車に乗る前に散々アリシアの姿を探したがどこにも見あたらなかった…そして捕虜交換の後、東地区で解放されたあとも探したがやはりアリシアの姿はなかった。
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