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1年前…
ゴゴゴォ…
雨が降りしきる中、3両の戦車が岩陰に隠れ動けないでいる。
「おい、小夜…どうすんだよ?」
操縦席に座る男が言った。
しかし小夜と言われた女はただ黙って双眼鏡である一点を見ていた。
その女が見つめる先には…敵戦車3両が此方に砲を向け、狙いすまして待っている…砲を向け狙っているのは、ティーガーⅠ…。
そのティーガーⅠを見ていた女が口を開いた。
小夜「距離1200…この地形なら近づける…」
女はそう言うとハッチを閉め、車内に入ってきて車長席に座った。
小夜「やるぞ…」
「な!正気か!?」
小夜の言葉に操縦席に座っていた男は目を丸くして驚いた。
「ティーガーⅠ相手に何が出来るってんだよ!?こっちはシャーマンなんだぞ!」
「あっちは2キロ先からでもこっちの装甲ぬけるんだぜ?戦って勝ち目あるわけねーだろ」
男は小夜に言ったが小夜は聞く耳を持たなかった。
小夜「それは第二次大戦時の話だ…同じシャーマンでも私達のシャーマンはパワーが違う…」
「そりゃあっちも同じだろ?敵のティーガーだって桁外れのエンジン積んでるぜ…」
小夜「それでも私達の車両の方が軽い…」
「確かにスピードはこっちが上さ、しかしよ、敵に近づいてどうすんだよ?0距離で撃ったってシャーマンの豆鉄砲じゃティーガーの装甲はぬけんのよ?」
男と小夜が言い合いをしていると、砲手の男が話に割って入った。
「何でもいいけどさ…敵さんは見逃してくれるつもりは無いみたいよ…」
そう言いながら男は親指でティーガーのいる方を指した。
小夜は慌てて車両から出て双眼鏡でみた。
双眼鏡に映ったのは、3両のティーガーⅠが此方を包囲するように前進してくる物だった。
小夜「チィ…」
小夜は舌打ちしながら車両に戻った。
小夜「東条、エンジンをかけろ、やるぞ…」
東条と呼ばれた男はダルそうにイグニッションを入れた。
東条「へいへい」
キュルルル…
グボン!
小夜は無線で言った。
小夜
《了解》
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