黒い石

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十二月ぐらいになれば、家に帰り着くころには、もう夕日の時間帯は終わって、空はほぼ黒に被われている。 去年のその時期は、ずいぶんと寂しい思いをしたものだ。 それまでにじっくりと堪能しておかなければ、と思う。 いつものように洋館の前にさしかかった。 正門より手前の位置、やや西側で洋館を斜めに見るのが一番いいアングルだ。 何度見てもほれぼれする。 飽きもせず洋館に見入っていた時、先の地面で何かが光ったのに気がついた。
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