呼び声

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      ミーン…ミーン……。 うるさくセミが鳴いている。 まだ6月の半ばだというのに既に真夏の気候だった。 (異常気象かよ……。暑ぃーなーもう。) 駅の階段に座り、本日3本目であるアイスを開けながら少年は考えていた。 「………遅ぇなぁ。」 そう呟いた少年の名は 高原 隆也(たかはら たかや)。 「悪い悪い!!遅くなった!!」 真面目そうに見える少年がやって来たのは、隆也が6本目のアイスを食べ終わった頃だった。 「速人…お前なにやってたんだ…?」 「うぉぅ!?殺気!?殺気出てるってば!!」 そう言って怯えたフリをしている少年の名は 風真 速人(かざま はやと)。 2人は小学校入学以来の付き合いで、今年で11年の付き合いになる。 「今日は時間通りに家を出たんだって!!」 「ならなんでこんな時間になるんだよ」 速人の家は駅から歩いて10分の位置にある。 どう考えても数時間も遅刻できる距離ではない。 「それがな、まだ6月だってのにこの気温だろ?つい寄り道しちまってな!!」 速人はまるで悪気の無いように笑っている。 「お前なぁ……」 隆也は軽く頭痛覚え、未開封のアイスで額を冷やしていた。 「まぁ悪かったって!!アイス奢ってやるから許してくれ!!」 速人は隆也の隣に座りながら言った。 「もうアイスはいらねぇよ」 軽く睨み付けながら、額を冷やしていたアイスを速人に放る。 「お前……コレ何本目?」 「7本目だ」 次はもっと早く来よう。 そう誓った速人だった。      
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