Chapter3

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「はい。高峰です」 「あ、俺だけど、悪い、さっき言い忘れた。明日までに新作のプロットまとめて午前中に会社まで持って来い」  ……へ?  名前も名乗らず唐突にぶつけられた言葉に悠里は耳を疑った。 「あの、間違い電話じゃ……」 「お前、自分の担当者の声も忘れたのか?」  いやいやいや、刷り込まれるほど知り合いじゃないし! と悠里はぶんぶんとかぶりを振った。 「い、今、なんと?」 「明日までに登場人物の設定つけて、五〇KB前後でプロットまとめてこい、じゃあな」 「あ、あの! ―――……って、切られたし!」  押し付けるように用件だけ言い終わると、氷室は早々に電話を切った。 悠里の耳に虚しくツーツーと言う無機質な音だけが残る。
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