Chapter3

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「……」  視界の隅に置かれた山のようなファンレター、もちろん悠里の励みにもなるが逆にプレッシャーでもある。  ファンあってこその小説家なんだから。  と何度も加奈に言われてここまできたが、新任の氷室を思うとどっとため息が出る。 『あ、そうだ……』  悠里は空港で氷室からもらったものを思い出した。  鞄の中からそれを取り出して、紙袋を開けた。 「こ、これは……」  シルバー細工のドクロのキーホルダーだった。  ゆっくり左右に揺れながら、なんとなくそのドクロが小馬鹿にするように悠里を笑ってるようにも見えた。
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