第一章 始まりの妄想

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 悠里は物心ついた時から絵を描いたりするのが好きで、小学校から大学に至るまで密かに小説を書いていた。  大学卒業とともに一般職のOLに就職したが、毎日のように繰り返される同じようなデスクワークに辟易して三年勤めて辞めた。  それから趣味の小説を書きながらバイトを転々としている時、大学時代の同人仲間が勝手に出版社主催の恋愛小説大賞に投稿した「愛想の果て」という長編小説が書籍化されることになり、いざ書店で並ぶとたちまちミリオンセラーになってしまった。  小説だけで食べていけるわけない! と、両親に咎められ実家に引き戻されそうになりながらもなんとか東京で頑張っている。
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