Chapter2

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 都心は嫌いだ。  悠里はちんたら喋りながら歩くカップルに苛々しながら追い越し先急ぐ。  大学進学のために上京して何年も経っているのに未だ東京暮らしに慣れない。 信号待ちの時にふと周りを見てみると、春先に似合ったお洒落な格好をした若者や、気品にあふれた中年女性の姿が目に入る。 『もう少しいい格好してくればよかったな……』  思わず自分の服装を見ると、イマイチ垢抜けた感じのしない服装に、眼鏡ですっぴん、女子力もあったものじゃなかった。 『いや、だって、今日は打ち合わせだけだし……』  だから別に洒落れる必要はないのだと自分に言い聞かせて悠里は大海出版のエントランスをくぐった。
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