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そして、卒業式がどんなに華やかだとしても、式中の偉いひとたちのありがたいお言葉と、顔も知らないほかのクラスのひとたちが一人ずつ名前を呼ばれる卒業証書授与は、とってもヒマだ。
もしかしたら、このひまな時間にまっすぐ体育館のステージ上を見て、たった一瞬さえも集中したままの人間もいるのかもしれない。
いたとしても、それはわたしではなかった。
わたしはずっと式の最中、中学一年生のときに転校していった相沢真白のことを考えていた。
式の最中に限ったことじゃない。
受験シーズンが始まり、卒業式が近くなるにつれ、わたしは真白ちゃんのことばかり考えるようになった。
それだけじゃない。クラスが団結するような学校行事が近くなると、わたしは真白ちゃんのことを思い出す。
いや……わたしはたぶん。
一度だって真白ちゃんのことを忘れたことなんて、ない。
真白ちゃん、とみんなに呼ばれていた。
まっしろ、という名前の通り、相沢真白は透き通るような白い肌をしていた。
白雪姫が雪のように白い肌をしていたから、白雪姫。
しかし、相沢真白はどう見たって姫ではなかった。それほど飛びぬけて可愛いわけでも綺麗なわけでもない、普通の女の子だったと、当時は思っていた。
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