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恵理香は頭もよかった。見るからにチャラチャラしていて、スカートも短いけど成績はいつもよかったし、放課後に習い事や塾で遊びを断ることも多かった。
そんな恵理香を憧れのまなざしで見るわたしたちの視線を、きっと恵理香は知っていただろう。
彼女の権限は絶大だった。
少なくとも、中学校というところに進んだばかりのわたしたちからすると、彼女は本当に女王様だったのだ。
彼女がなんにも面白くなくともギャグを飛ばせばギャハハ、とおなかを抱えて爆笑して、彼女がむかつくんだけど、といって愚痴をこぼせばそれは最悪だよ、わかるわかると同調する。
恵理香が女王としての立場を確立して、ついに仲間内を貶したのがまだ前期も真っ只中のころだった。
恵理香のまわりにはいつも人が集まっていたけど、中でも遊びにいったり、なにかの班分けで一緒にいる子たちがいた。わたしもそれに入っていたし、真白ちゃんもそれに入っていた。
そのグループの中で、和泉という名前の女の子がいた。いずみは、いっちゃん、と周りに言われている、かわいい子だった。恵理香もかわいかったけど、いっちゃんは本当に可愛い子だった。
いっちゃんは恵理香と仲良くなることに躍起になっていた。
あなたたちより、わたしのほうが気が合うの、とでもいいたげに、恵理香のことをすぐにエリと呼ぶようになり、恵理香のことを笑いながら小突いたり、バカだなあ、とか言ったりして、早い段階で恵理香のいうことを軽く否定したりして、気兼ねなく一緒にいられる友達、として振舞っていた。
二人って仲いいよね、といわれると満足げに微笑むような子だった。
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