名も無い祠

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幼い頃から見えた訳じゃなかった。 遊び半分で山に登り… 壊してしまったのだ… そして…今から16年前… 私は生まれた… 先祖代々 百姓をしていた私の家は大きく 周りからは羨ましがられていた。 そんな家に私は生まれた… ずっと 男ばかり生まれていた我が家に、待望の女が生まれ 父は凄く喜んだ。 それとは反対に、曾祖父は悲しんだと聞かされた… 大きな産声が病院に響き渡る。 「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」 父や祖母は喜び涙を流している。 「待望の女の子だ!!」 二人は病室に急いで向かった。 だが…曾祖父だけは 待合室に座り 頭を抱えていた… 「なんて事だ…あの子に何て言えばいいんだ…」 静かな待合室に 曾祖父の泣き声が響いていた。 それから6年の月日が流れた。 小学生になった私は、幼なじみの秀斗と遊んでいた。 「なぁ…美宝 あの山にある箱みたいな物って何だ?」 秀斗が指す山を見ると 小さな家の様な箱があった。 「知らない~」 幼かった私は それが何なのか… 知らなかった…
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