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「何を占いますか?」
「うちらの将来を聞きたいんですけど」
まあ、困難はありますが~とかのお決まりの文句を想像した。
「では守護霊に聞いてみます」
(守護霊?)
意外な展開にちょっと面喰らった。
そして店員は俺の方を見つめた。
正確には、俺の肩の辺りに目線がいっている。
(何を見ているんだろ)
店員は真剣な眼差しで俺の背後を見ている。
その眼差しが本当に何かを見ている風で、振り向こうかと思ったくらいだ。
背中がムズムズして、緊張してきた。
「あなたは少し頑固な所ありますけど、そこさえ直せばうまくいきます」
しばらく考えるんだろうという予想に反して、すぐに答えが帰ってきた。
(頑固は間違いないけどな)
しかし、ありきたりの答えに現実に戻った。
やはり俺が予想した、当たり障りない占いなんだなと納得した。
「あなたの守護霊に聞いてみます」
店員はまりの方を見て、また同じようにまりの背後を見ている。
(はいはい)
俺は緊張から解放されてラーメンをすすりながらやりとりを見ていた。
(やっぱり頑固っぽく見えるんだな)
表情のイメージから占いしたのだろう。
確かに頑固だとたまに言われることもある。
そういう視点から見ると、ある意味プロだなと思った。
(これで無料なら損ではないな)
そう思った瞬間にまりの目から涙がこぼれているのに気づいた。
「いろいろ苦労あったんですね。でも悪い方に考えちゃ駄目ですよ」
店員は優しくまりに語りかけている。
「いい方に考えれば、いい方に向かいますよ。」
俺はそっと涙を拭くティッシュをまりに差し出した。
本当に人を見てるな、と思った。
店員が話すことはありきたりの言葉であったが、今の俺達の境遇にピッタリ収まる話だった。
「守護霊って見えるんですか?」
まりが素朴な疑問を投げかけた。
「はい、見えますよ。そこにいます。」
と、店員は俺の肩の辺りを見た。
「守護霊は一人に一人絶対についています」
店員は静かな口調で語り始めた。
「あなたはフランスの貴婦人が守護霊ですよ」
店員はまりに向かってそう言った。
「あなたは宣教師が守護霊です」
俺の守護霊は宣教師だそうだ。
「人は皆、守護霊の導きによっていろんな使命を持っているんです」
店員は真剣な眼差しでこちらをみている。
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