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「これは合鍵作った意味ないな」
ふと気づいた。
マスターキーと合鍵一緒にして持ち歩いていたのだ。
(しっかりしろよ)
自分にそう言いたかった。
かれこれ7~8年この状態だった。
(マンションも買ったし心機一転、記念になるキーホルダー欲しいな)
先日彼女と話をしたところだ。
俺は神頼みじゃないけど、伊勢神宮のキーホルダーがいいかなと思っていた。
彼女はダサイと言った。
(確かに言われて見ればダサイかな)
ネットで画像を検索してみたが、もう少しデザイン考えて欲しい。
せめて中年の女子でも身に付けられる程度だったらなあ、なんて歯ぎしりした。
「伊勢神宮の方は家に保管しとけばいいんじゃない?」
「…」
彼女は黙っていた。
彼女が黙ってしまうときは、だいたい答えはNOである。
これは考え直さなきゃいけないパターンである。
「いつも持ち歩くやつは感じのいいブランドものがいいかな?」
俺は記念になるものなら、多少値段がはってもよいかなと思っている。
彼女は結構ブランド好きだし、やはり欲しいだろう。
「ティファニーがいいよ」
やっぱり気に入ったのが彼女の口から出てきた。
ティファニーは聞いたことあるぞ、と思いながらネットで検索してみた。
(それなりにするな~)
こんな小さな輪っかが1万も2万もするとは。
俺の感覚では考えられない。
「ペアで揃えたいよね」
当然のことを言ったつもりだったが、この言葉から雲行きが怪しくなってきた。
「私ティファニーのキーホルダー持ってるって言わなかった?」
あれ、言ったかな?
必死に記憶をたどってみるが、ピンとこない。
「一回写真送ったし」
明らかに不機嫌の色が見える。
言われているうちにうっすらと思い出してきた。
ブランドものに興味がない俺には、あいまいな記憶になっていたのだ。
「私ブタちゃんのキーホルダー持ってるし」
完全にすねてしまったことはわかる。
しかし、どうすればいいのかが全然わからない。
ブタちゃんもかわいいよね、なんて言っても彼女には通用しない。
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