旅立ちの日

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旅立ちの日

プロローグ 暗い部屋に、一人の美しい少年がいる。7、8歳ぐらいであろうか。真っ白な肌に、黒い髪。そして、なんとも印象的な真っ赤な瞳。奇麗なのだがなぜか恐ろしげで、黒色にいや、黒というより『闇』色に濁っているように見える。と、そのとき、少年の目が、わらった。やさしい笑みではない、見るものを凍りつかせるようなおそろしく冷たい笑みである。その目はある水晶球にむけてある。その水晶玉になにかが映りだした。人間の少女のようだ。だが、その美しさは人間ものものとは思えない。白い肌に、赤茶色の髪。美しいこの少年も、かすんで見える。そして、その瞳。蒼く、きれいで、とても澄んでいる。まるで、最高級のサファイヤを埋め込んだかのような―――。 と、そのとき、少年が始めて言葉を発した。 「みぃーつけた……」 声はかわいいが、やはりなんとなく恐ろしい。 「ねぇ、おねぇちゃん。ぼくとあそぼうよ。なにをする?かくれんぼ?おいかけっこ?……そうだ、たたかいごっこしよう?おねぇちゃんが、ゆうしゃサマだよ。 たたかいごっこするには、ゆうしゃサマが、『れべるあっぷ』しなくちゃいけないね。ぼくが、もんすたーを届けてあげるから、『れべるあっぷ』して、はやくぼくのところにきてね……。」 少年がそういうと、いきなりへやがもっと暗くなった。そして、のこったものは少年の真っ赤な瞳と笑い声だけだった―――――
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