序章

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「人生には様々な別れがある。別れの前はどんなに泣いてもいい。じゃが最後は笑って別れろ」 「笑って?」 「そうじゃ。別れが長く、もう会うことがないような別れの時こそ笑え」 「なんで」 「相手に最後に残った記憶が泣き顔より笑った顔の方がいいじゃろ」 ああそうだな 「じゃから相手がムカつくほどとびっきりの笑顔でわかれてやれ」 「わかったよ」 「ならいい………ゴホゴホッ……あーもうだめじゃな……焦点が定まらん」 じーさんが伸ばした手を掴む 「無理して喋るからだ」 泣きそうになるのをなんとか抑えて話しかける 「どうしてもいいたくてな…ゴホゴホッ……じゃあ行ってくるわい」 「ああいってらっしゃい」 じーさんは憎たらしいほどの笑顔で息を引き取った 俺も負けじと笑って見せた
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