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『圭介君は意外とイベントごと好きだよね』
『…そうかな』
『そうだよ。だって私が忘れちゃってたのだってちゃんと覚えてるし。たくさん記念日作っていきなりお祝いし始めるし』
『その方が楽しいからね』
『でも、でもさ。私が知らないとか忘れてるとか、そういう気配がしたら前日に教えてくれれば私もお祝いの用意とかできるのに!』
少しだけ恨みがましく口を尖らせながら翼が言う。
『忘れる翼が悪い。それにいきなり始めて、しまったって顔してあわあわしてる翼見るの楽しいから』
『うわ、出た。圭介君の意地悪。……性格悪い』
『何か言った?』
『い、じ、わ、るって言ったの!』
むすっとしながら僕に言う彼女が面白くて、笑うとますます仏頂面になってそっぽを向いてしまった。
『翼は自分と樹の誕生日だけちゃんと覚えてればいいじゃない』
むすっとしたままちらりと視線を寄こして、『…圭介君のもだよ』と小声で言った。はいはいと軽く流してしまいたいけど、そう言うと彼女の不機嫌が長引きそうだからちゃんと返事をした。
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