強制恋愛:epilogue

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今日が何の日か。 翼はちゃんと覚えていたらしい。 ”プロポーズ記念日” 結婚記念日とかなら普通な感じがするのに、カタカナになると、結婚する前の段階の記念日だと、なんでこんなにむずがゆくなるんだろう。 そのこと自体が恥ずかしいとは思わないけど、面と向かって翼に言うとなるとこっぱずかしくなって、わざとヒントをあげながら彼女に気付かせるのが僕の常套手段だ。 (…それにしても…) シチューを作るってことを彼女が当てたことに正直驚いた。 確信してパンを買いに行ってることも。 もしかして、昨日材料を買ってこなくてもいいかどうか冷蔵庫の中身を確認してたのを見てたのだろうか。 それとも、カレーやらシチューやらハヤシライスの素が入ってる棚の一番手前にシチューの箱をわざわざ出しておいたことで気づかれたのか。 『結婚して何年だと思ってるの』 彼女にどうしてわかったのか聞いたら、きっと得意げにそう答えるに違いない。 「ふ」 なんだかおかしくて、また笑ってしまった。 ほんと、彼女と一緒にいると楽しくて、幸せで、愛おしくてしょうがない。
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