強制恋愛:finger

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水曜日。 まだ寒い外を眺めながらランチ中。っていってもそんなランチって言うほど豪華にできるわけでもなく、ファミレスでご飯中。 「あー、2月終わるー。やだな、もう学生じゃなくなるんだよ」 「そうだね」 「いいね、翼はまだ高校生でも通用するから」 「・・・褒め言葉?それともけなしてるの?」 「褒、め、こ、と、ば」 じとっとした視線を送ればウィンクでもしそうな軽い口調で返された。 小さく溜息をついてから、ハンバーグランチのお皿の中にあるポテトを口に運んだ。 「卒業式って翼どっちにするの?」 「どっち、って?」 「だから、袴か振袖」 そういえばどうするか決めてないや、って考える。 「うーん、多分袴だと思う。成人式でレンタルで振袖着たし、実家にお母さんの袴があるからそれ着るよ」 「へー」 「千里は?」 「ふりそでー」 千里が飲んでいたお茶がなくなり、コップからずこーって音がした。 ドリンクバーだから、入れてくるね、と言って立ち上がった彼女に私のコップを持たせていった。 そして、彼女が席から離れて行って再び私は窓の外に目を向ける。
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