強制恋愛:finger

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そのあと普通のオレンジジュースを持ってきた彼女からそれを受け取り、飲み終わるころに店を出た。 「愚痴ってもいいけどさぁ、私何も口出ししないよ」 「いいよ、聞いてくれるだけで千里には感謝してる。話がほとんど受け流されても」 そう言いながら大学に向かって歩いていた足を、信号待ちのために止める。 隣からはまた深いため息が聞こえて、見ると頭を片手でがしがしと掻いていた。 「あーもうっ!一つだけ、アドバイス」 「おぉ・・・、ありがとう」 「会うのはあと2回にしなよ。それで何も変わらないなら早く別れな」 ざっくりとおおざっぱなアドバイスだけど、いつも話を聞いてくれてる人の言葉だとそれが最善に思ってしまう。 「いい?2回だよ、2回。それ意識して会いなよ。次が最後って言ってもう何か月だと思ってんの。 出来ないのは翼がまだ未練あるのと、心の整理が出来てないからだよ。1回目で言いたいことは全部言って、2回目で話し合う。回数が決まってる方が心の整理ってつくもんだよ」 笑うか怒るか。 だいたいその表情の彼女が、珍しく真剣な顔で言ったものだから「・・・そうする」と気圧されたように、背中を思い切り押されたように頷いた。 「あー、読者は物語の中に口出ししちゃいけないんものなんだから」 不満げにえい、と脇腹を小突かれた。
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