第二章 つきもの

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病院の最上階である5階に行くまでの間は何事も無かったが、そこに着いた途端、茜が両親の目の前から姿を消したこと。 その行動が、まるで何かに操られているかのようなものだったこと。 娘を追いかけて行った先で遭遇した、少女のこと。 そして――― 「娘に、刺された?」 「はい。叔父さんたちが言うには、確かに刺されたんだ、と。死ぬほど痛かったしあの鉄臭い血の匂いもしたって。でも、気がついた時には茜ちゃんを抱えて車を止めてあったところまで戻っていたそうです」 「そういう言い方をする、ということは……」 「……叔父さんたちの身体には、傷一つありませんでした。抱えていた茜ちゃんも寝ていただけみたいなので、そのまま家に帰って……」
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