第1章 捜し物

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「おはよう、ございます……」 相談所に、控えめな声が響く。 誰もいない室内を見渡しながら、ゆっくりと部屋に入っていくのは、制服を着た翠菜だった。 「……いないのかなぁ」 奥にあるキッチンらしきところを覗いても、誰もいない。 「あ、おはようございます、翠菜さん」 「ひゃっ!?」 背後から急に話しかけられ悲鳴をあげながらも振り向くと、中学校のものであろう制服を着てあくびをした沙耶がいた。 彼女の後ろを見れば、相談所の入り口の近くにあるもうひとつの扉が開いている。 そこが榊兄妹の部屋なのは、すぐにわかった。
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