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「おはよう、ございます……」
相談所に、控えめな声が響く。
誰もいない室内を見渡しながら、ゆっくりと部屋に入っていくのは、制服を着た翠菜だった。
「……いないのかなぁ」
奥にあるキッチンらしきところを覗いても、誰もいない。
「あ、おはようございます、翠菜さん」
「ひゃっ!?」
背後から急に話しかけられ悲鳴をあげながらも振り向くと、中学校のものであろう制服を着てあくびをした沙耶がいた。
彼女の後ろを見れば、相談所の入り口の近くにあるもうひとつの扉が開いている。
そこが榊兄妹の部屋なのは、すぐにわかった。
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