第1章 捜し物

3/6
前へ
/55ページ
次へ
「どうしたんですか?こんな朝早くに……」 「お金、渡しに来ました」 そう言って鞄の中から、封筒を取り出して沙耶に渡す。 彼女はそれを受け取り、封を開けて中の金額を確認した。 「5万も……うちの相談料金がいくらかは、知ってますよね?」 確かめるように見つめてくる彼女を、翠菜はしっかりと見返す。 「わかっています……。これは、依頼金とお詫びです」 「お詫び?」 よく分からないと言いたげな沙耶に翠菜はバツが悪そうに続ける。 「その……私が暴れちゃったときに色々壊しちゃったので……」 「あぁ……」 納得したように苦笑いしながら、沙耶はお札を1枚だけ抜き取り、残りは封筒ごと翠菜の手にそっと握らせる。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

170人が本棚に入れています
本棚に追加