第1章 捜し物

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「それでも、学生であるあなたからはこんなにもらえませんよ。これだけで十分すぎるほどです」 一万円札をピラリと指に挟んで微笑む彼女に、翠菜は素直に頷くしかなかった。 「心霊関係の悩み事があれば、いつでも来てくださいね」 「そんなにあるものなんですか?」 「ある人はありますよ~。霊媒体質の人はよく来ますね」 「…………」 「翠菜さんも碧衣さんが何かしてきたら…」 「ちょ、お姉ちゃん成仏したんじゃなかったんですか!?」 慌てて後ろを見るも、当然何もない。 だけど、沙耶の目は翠菜の頭の少し上を見ている。
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