第1章 捜し物

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バタバタと走り去っていく翠菜を見送り、沙耶はゆっくりと扉を閉める。そして、 「盗み聞きなんてしちゃダメでしょ。お兄ちゃん」 いつの間にか閉まっていた自室への扉を開けると、眠たそうにあくびをしている零夜が立っていた。 「はい、報酬」 翠菜から預かっていたお金を押し付けて、キッチンへと向かう。 「今日は何食べたい?」 「………フレンチトースト」 「はいはい」 ソファに座って今にも寝てしまいそうな兄に妹は苦笑しながら奥へと消えていく。 そんな兄妹が運営する“榊心霊相談所”。 お悩み事があれば、いつでもお立ち寄りください。
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