第二章 つきもの

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「………つまり、茜は死んだはずの碧衣ちゃんがいたから、あの家に行くのがイヤだったってこと?」 「うん……」 「……………さ、そろそろ行きましょ。明日は早いんだから」 再び、ゆっくりと歩き出す一行は、病室や手術室を覗きながら進んでいく。 最後のフロアである5階に着いたとき、彼らは妙な音を聞いた。 キイ…キイ……と何かが動く音。 「今の……聴こえた?」 「ああ……」 今までとはどこか空気が違うこの階。 少し戸惑いながらも、歩こうとしたとき、 「……茜?」 ついさっきまでしがみついて離れなかった茜が、ふらふらと進んでいく。 その表情は虚ろなもので、視線は向こうの暗闇に固定されている。
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