第二章 つきもの

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元々大きな病院なだけあり、広く長い廊下に2人の足音だけが響く。 だが、2人は気づかない。 大人が全速力で走れば、小さな子供に追いつくのは容易い。 なのに、いくら走っても、懐中電灯の明かりは少女を照らさない。 それどころか、本来ならすでに廊下の端に着いていてもおかしくないはずの距離を走っている。 「茜……どこにいるんだ……っ」 キイ…… 「っ!?」 息が乱れ、身体が思うように動かなくなり、ついには立ち止まってしまった2人の近くから、さっきも聞こえた何かが擦れて動いたような音。 音がした方に明かりを向けたが、何もない。 キイ…キイ…キイ…… 音は、確実に近づいてきている。 金縛りにあったかのように恐怖で動きが固まってしまった2人が見つめる中“それ”はゆっくりと姿を現した。
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