第二章 つきもの

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ゆっくりと暗闇から現れたのは、髪の長い、小さな女の子。 先ほどから聞こえていた音は、この少女の乗る車イスの車輪が擦れてでたものだった。 そして、その車イスを押しているのは、虚ろな表情をした茜。 「茜……!」 娘を見つけたことで安堵した両親は、茜が無表情で無感情に佇んでいることに違和感を感じながらも、娘を抱き締めようと一歩踏み出す。 「………? なんだ、これ……」 「っ……」 だが、自分の意思とは別に身体はまったく動こうとしない。
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