第二章 つきもの

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お茶を一口飲んでから、翠菜は改めて語りだす。 「美鈴大学に、医学部があるのはご存じですよね?」 「ええ。確か附属病院もありますよね」 頭の中で附属病院周辺の地図を思い浮かべながら、零夜は頷いた。 「その病院が、実は2棟あるというのは?」 「………それは知りませんでした」 「今使われている病院って、新しい病棟らしいです。新病棟の周りにある森……あそこの奥に今は誰も近づかない旧病棟があるんです」 「そこに行ったのですか……」 頷いて翠菜は床に置いていた鞄から手帳を取り出して、そこに挟んでいた一枚の写真をテーブルに置いた。 どこかの家のリビングで撮ったものらしく、顔のよく似た中高生くらいの2人の女の子と、まだ幼い少女があどけない笑顔を向けていた。
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