神父×神父×神父

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「小さなシスターさん、貴方に問おう」 「はい」 頭一つ高い俺の身長上、見下ろすように見つめながら厳かな口調で話しかけると、シスターは俺を見つめ返す 「時間が無いから単刀直入に尋ねよう…兵藤の所へ行きたいか?」 「それは…」 「先に言っておく…俺はくだらん建前なんざ聞く耳は持たんぞ」 寂しげに瞳を伏せるシスターの言葉の腰を折るように釘を刺し、鋭い視線で射抜く 「自分を押し殺し、気持ちを偽るな…俺が聞きたいのは、お前が背負っている宿命も使命も全てかなぐり捨て、強く心から願うお前自身の本当の気持ちだ」 「全て…捨てる…」 「そうだ、全てかなぐり捨て、真っ先に浮かび上がる想い。それがお前の本当の願いだ」 シスターは三十秒ほど悩むと、おもむろに口を開いた 「…いです」 蚊の鳴くような小さな声で啜り泣きながらシスターは繰り返す 「イッセーさんに…会いたいです…!!」 「…よく言った」 とても小さな願い、しかし俺が力を貸すには充分過ぎる願いだった シスターに僅かに微笑み掛けると、倉庫から一枚の札を取り出して手渡す 「こいつは転移符だ、これに行きたい場所…会いたいヤツを思い浮かべて強く念じろ」 「はい…!!」 両膝を折り、跪くように膝立ちで両手を組むのを見届けると、シスターが胸に掻き抱く札に法力を流し込む 「万物に宿る秩序の力よ、この小さき者の願いに耳を傾けたまえ」 俺の言葉に呼応するように輝き出した転移符が法力でシスターを包み込む 「我が名、御津白夜の名の下に奇跡を起こせ…!!」 すると更に札が輝き、シスターを中心に光の奔流が溢れ出し、小さな部屋を極光が支配する そして輝きを失って行く光と共に小さなシスターの姿が消え、転移成功の感触だけが俺の手に残った
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