Cotton Candy Sister

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 僕に出来るのは喋ることと人並み以下に歌うこと。僕は路肩で喋っていた。皆足を止めず に歩き去る。仕方ない。僕には足を止めるものを持っていない。仕方ない。僕には足を止め てもらうだけのものを持っていない。仕方がないからそんな声で僕は喋る。喋るしか僕には 出来ない。だから僕は歌い、喋る。  それしか出来ない僕にも立ち止まってくれる人がたまにいる。でも何も言わず去っていく ことが多い。だから僕も色々と歩き回った。そして出会った。その人と出会ったのは何のき っかけもない。ただ立ち止まったのがあの人の前だった。ただそれだけ。でもあの人は僕を 気に入ったようだった。僕が話すと立ち止まって聞いてくれる。あの人は僕に、何もない僕 にくれたものがあった。それは今までに持ったことのないものだった。  その人は僕にくれた。その時は何かわからなかった。それからみんなも僕に何かをくれる ようになった。少しの期待をしてくれるようになった。僕はそれに応えるかのように喋った。 歌った。その人は僕の歌を聞いて評価をしてくれる。僕の喋りを聞いてくれるようになった。 それに応じて周りも聞いてくれるようになった。そして僕は少しだけ何かを持てた気がする。  その人と繋がりを持ち、もらったものが膨らんでいった。それはなんなのかわからない。 その正体は膨らみ切るまでわからない気がする。それは形のあるものじゃなく、それは形容 のし難いものだった。何を貰ったのか僕にはわからない。でもそれは手の中に、胸の中にあ る小さなものだった。それが膨らんでいく。その人と一緒にいると膨らんでいく。  その人を僕はお姉ちゃんだと思った。可愛くて僕よりも小さくて子供っぽくて、お姉ちゃ んって呼ぶとすぐに照れる。でも僕のお姉ちゃんになって欲しかった。僕はそのことを冗談 交じりに話してみた。すると笑いながらもいいよって言ってくれた。その時から僕のお姉ち ゃんになった。お姉ちゃんは冗談のつもりかもしれない。でも僕は本気でお姉ちゃんだと思 ってる。お姉ちゃんは僕のお姉ちゃんだと思ってる。これは嫉妬だ。わかってる。僕の中で 産まれたものだ。だから受け入れなきゃ。僕の中で初めて産まれたもの。どうやって受け入 れればいいのだろう。わからない。受け入れ方を僕は知らないんだ。受け入れたことがない から。なら受け入れなければいい?
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