Cotton Candy Sister

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 それは違う。受け入れなきゃ。何であれ僕から産まれたものだから。受け入れなきゃ。ど うやって。受け入れ方を知らない。僕は受け入れ方を知らないんだ。受け入れる以外にどう すればいいのだろう。きっとどうすることも出来ないものなのだろう。仕方がない。受け入 れ方を知らないのなら溜め込むことしか出来ない。仕方ないからこの不快なものを自分の中 に溜め込んだ。嫌だけど、仕方がない。受け入れられないのだから。  お姉ちゃんは楽しい。喜ぶ声も照れる声も可愛い。一言一言が僕には特別に感じる。僕に とってのお姉ちゃんは特別なものだった。僕はお姉ちゃんの声が好きだった。言葉が好きだ った。全てが好きだった。でもそれは叶わないと知っている。僕には知らない人が後ろにず っと立ってるんだ。僕の気持ちを知りもしないで立ってるんだ。僕もその人に対してどんな 気持ちを抱いてるのかわからない。でも立ってるんだ。たまに怖い時がある。嫌な時もよく ある。でも後ろに立っている人は僕の気持ちを知らずに囁くんだ。好きだ、好きだって。僕 は自分の気持ちを言っていない。ただ相手に合わせているだけ。気持ちなんて存在しない。 するとしたら偽善だろうか。僕が持ち得たものは偽善、嫉妬、そして形容できないふわふわ したもの。お姉ちゃんの言葉はふわふわしたものを膨らませる。それは徐々に形を帯びてき ている。その正体は何も持たない僕には初めてのものだった。正確には、棄てたはずのもの だった。  好意。ふわふわして、あったかくて、とても綺麗なものが僕の手の中にある。胸の中にあ る。だけど、それを受け入れたら僕は過ちを犯すことになる気がする。後ろに立っている人 はまだ透明だ。だけど徐々に形を帯びて僕の近くに現れるんだ。好きだ、好きだと囁きなが ら、いつか僕の前に現れる。そしたら僕はどうなってしまうのだろう。逃げるなら今だ。で もそれは出来ない。お姉ちゃんをおいて逃げるわけにはいかない。僕のお姉ちゃんだから、 逃げるわけにはいかない。今はまだ透明で不完全だけど、それが完全になった時、僕はそれ とどう接すればいいのだろう。積み重ねた偽善だ、僕が決着を付けなければ。受け入れなく ては。  嫉妬は膨らむばかり。でもこれは仕方ない。好意を抱いてしまったんだ。もともと誰のも でもないのだから、それに嫉妬するのは些かお門違いなのではないだろうか。そう考えると
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