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今宵もまた血に染まる。
何人もの人を殺してきた。
簡単に奪えるようになり、やがては何も感じなくなった。
ただただ、渇きと底知れぬ闇が俺を蝕んで行った。
俺は本当に人間か。
って、今さらどうこう言っても無駄だ。
この道は自分で選んだのだ。
だが、俺はいつになったら自由になれるのだろうか
どうしたら、この闇から救われるのだろうか
と、考えてしまうときがある。俺にはそんな事を願う権利はないのに。
****
「姫、行くぞ。準備はいいか?」
部屋にいた姫はもうすでに準備ができていたらしく俺が部屋に入った瞬間に立ち上がる
「おぉ、準備がいいな」
思わず笑ってしまう。
「・・・もし、途中で身の危険を感じたら俺に構わず遠慮なくにげろ」
そう言うと姫は少し笑い、愛しそうに刀を撫でた
初めて姫の笑顔を見た
すこし憂いに満ちていたがやはり様になる
こんな可愛らしい少女が本当に人を斬るのだろうか、と疑いたくなるほど優しい笑顔を浮かべていた
「そんな事しない。せっかく斬れるのに」
「こんな機会滅多にないわ」
だがやはりこの少女も俺と同なじなのだろう
その表情にはすでに憂いも笑顔も消えていた
「そうか、じゃあ出発だ」
ここから目的地の場所はそんなに遠くなかった
「思ったよりも見張りが多いな」
「全員斬っちゃえばいいじゃない」
「そう、早まるな。作戦通り裏からいくぞ」
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