序章 つばきひめ

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_______名もなき男 「お呼びでございましょうか?殿様」 「あぁ、言うまでもない。仕事だ」 「承知」 こうして主の前にあらわれるのはで今回で何回目だろう 今宵も誰かの命が俺の手により奪われその事実は闇に葬られるのだ * * * 夏ももう終わりかけだというのに、外では蝉の鳴き声が絶えない 夏は嫌いだ。 汗をかくとべたべたするし、蝉の鳴き声はうるさい。 だが何よりも嫌いなのは頭上にお高く昇った太陽 闇で生きている俺にとって、この太陽はこの世の全てを照し出してしまいそうで。 そして俺は今、その大嫌いな太陽の下をある人物に会う為歩いていた その人物とは近頃、巷で有名な人斬りーーその名をつばき姫と言う つばき姫と言うのはもちろんあだ名だ。 椿の花はその形を残したまま、まるで人の首が落ちる時のように落ちて行く そのつばき姫が刀を抜いた時、辺りは一瞬で血の海と化し、まるで椿の花が落ちていくかの如く斬られた首が落ちていく。 ゆえに、つばき姫と言うあだ名がついたらしい
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