序章 つばきひめ

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「ここらで力を持っているだけあって屋敷はでかい。しかも今の当主である、上野忠信は用心深い人物で周辺警護はかなりの人数の忍や侍を雇っている」 姫は横を向いているがちゃんと聞いてるらしい それを確認した俺は話を続けた 「暗殺の実行は今夜だ。今夜も忠信の周りには警護がうじゃうじゃといるだろう」 それから俺は考えて来た作戦を姫に説明した ***** すべてを話し終わった時、太陽はもうすでに傾いていた その時に鳴った俺の腹の虫 そういえば俺は昼から何も食べていなかった 飯を食べるには丁度いい頃合いだろう 「腹ごしらえにしようか」 そう言って女将さんを呼ぼうとして立ち上がろうとすると 「私はいらない」 姫が不意につぶやいた 「なんでだよ、今しっかり食べておけないと倒れるぞ」 特に今は夏だ 陽が沈んでるとはいえ、蒸し暑いったらない 「おなかすいてないから」 窓辺に座り夕焼け空を眺めている姫からは何を考えているのかさっぱりわからない ただどこか悲しげな表情だ
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