<絶対会長様宣言!>

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『やめろ。また間違えてる、同じトコ。駄目だな、ホント』 何度目かの叱責に耐え切れなくなったのか、膝の上のノートにポタリポタリ雫が落ちて赤いインクが滲む。あっ、と思っても遅いし生憎慰める言葉なんて知らないから。気まずい空気が過ぎるのを待つしかない自分にイラつく それでも少し、対処法を見出していて 『ココ、計算の順序。コッチを先にやってからじゃないと…ーーー』 ゆっくり、出来るだけ優しく。怒っていないと分かるように。出来るか?そう聞けば頷いて消しゴムで消して、怖々と書き直して見せた答えは合っていた 解かせた数式は教えた先の難しい応用編。勿論解けない問題にいつも叱って泣かせてーーー。でも合ってる、と褒める代わりに小さく怯える頭を撫でてやれば窺うように顔を上げ…笑ってやればつられて金色の瞳を細めて、まつ毛から名残の雫が一つ…、煌いて落ちた 『お前は出来ないんじゃない、だから努力しろ。そしてやるなら必ず勝て、負けるな。逃げるなんて許さないーーー』 夏休みの出来る限りをこの病院で過ごした。ここには過保護すぎる義母も、舌足らずに『にぃに』と後ろに着いて回る弟も… 哀れむ目も、ない… 何事も完璧に、誰にも到底届かない高みから全てを見下ろして。情けも憐れみも必要ないのだと分からせてやる。だからーーー 『俺様がお前を勝たせてやる!だから、俺様にーーー』 ピピピピ…、叩き起こすような電子音に手を伸ばす。スマホの画面を確認して眠い身体を強引に起こせばズキズキと鈍い頭痛と目眩に眉をしかめて… 覗いた鏡に映る自分があまりにも不甲斐なくて焦りばかりがつのる。何を迷う?必要の無いものなどいくらでも捨ててきた。今の自分を脅かす不安材料なら、二度とこの目に触れなようにーーー 徹底的に…潰すまでのことだ スマホのリストから目当ての名前を探しだしまだ早朝にも関わらず通話ボタンを押せば、いくらもしないうちに慌てた声が聞こえてくる 『か、会長様?こんな早くにいかがされましたか!?』 「大したことではない。今日、生徒会控え室にーーー総隊長の諏訪を。来るよう伝えておけ」 『ーーー!…諏訪を、ですか?』 「何だ、問題などないだろう?今までと変わらない『呼び出し』だ」
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