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◇◇◇◇◇桐島 禅
ブレザーのポケットからタバコを取り出して…、そういえばさっきのが最後の一本だったとグシャリと握り潰す。屋上の少し離れたところに座る柏木がタブレット画面から顔を上げ可笑しそうに笑ってほら、と持っているタバコを取り出す。チラッと見ていらないと言えばやっぱりまだ可笑しそうに笑う
「そうだね。少し吸い過ぎ、身体に良くないね」
柏木はーーー、よく分からない。何を考えているのか。何事にも無関心なようでそうでもない。お互い不可侵領域を超えるつもりがないので付き合い易い、と思っているがーーー
「き~りし~まちゃ~んw」
今までどこにいたのか、馴れ馴れしく後頭部を叩いてきた高村は欲求に忠実なヤツで、それに遠慮がない。付き合いは中等部の1年からで2年からはずっと同室だがーーー、そういえばあまり部屋で出くわすことがない。部屋の私室も見たことがない。図々しいくせに、自分のことはしっかり壁で囲って見せる気がないらしい
ニコニコ、いや、ニヤニヤしながら肩に手を回し乱暴に左右に振られ舌打ちしてその手を叩き落とす。酷い~wとほざくその顔は、やっぱりニヤついてて更にイラッとさせる
「最近の桐島ちゃんはお利口だね~wこれなら皆勤賞も狙えたかも?」
「うっせぇ。高校で皆勤賞もねぇだろ。サボりのどこが利口なんだよ…」
黙れと睨んでも変わらないその顔に付き合っても疲れるだけだと諦め折れるしかない。小さい舌打ちにもニヤニヤ可笑しそうな顔に仕舞には手が出そうだと屋上を出ようと出口に足を向ける。もう行っちゃうの~?、その声に返した舌打ちを肯定と取ったようで
「今日さ~、会いに行ってもいい~?
諏訪ちゃんに」
その名前にピタリと足を止まる。今は…、と思っても聞くようなヤツではない。何より状況をややこしくしたのは自分自身。それ以前に、俺はもうーーー
「好きにしろ…」
吐き捨てた言葉に高村が片方の口角を上げて
「じゃぁ、行こっか。保健室に!」
楽しそうに柏木に声を掛けーーー
保健…室!!?
「なっ!!?どういうことだよ、保健室って!?」
勢いで高村の胸倉を掴みながら。怒鳴れば近づいてきた柏木が笑う
「倒れて保健室に運ばれたって。どうしたんだろうね?」
さして心配してない口振りが余計に混乱させる。考えようにも頭が回らずーーー
それより先に足が動いていたーーー
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