2507人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
近づけたと思ったのに実は全然遠かったって気付いてーーー、落ち込んでる俺に更に追い討ち
ドアを蹴破る勢いで入ってきたその男に皆が釘付けで。その視線全部無視してカーテンの中にまっすぐ向かう前に、玄ちゃんが立ちはだかる
「禅!!今はダメだ!眠ってるの起こしちゃうだろ!?」
「はぁ!?うっせーんだよ、黙ってろ!」
火花が出そうなくらい激しく睨み合っていると新庄先生がボソボソと桐島禅と話して…、だったら行って来いってカーテンの中に通した。3年役員は勿論、玄ちゃんも泣きそうになって何でだよ?って理由を聞けば
「あいつは姫のお薬だから。いーんだよ」
そんな風に言われたら、俺達全員何も出来なくなった
それから、玄ちゃんの乱入ですっかり目を覚ました月夜は俺達見て状況を理解したのか真っ赤になって桐島禅の胸元に顔を隠してーーー。倒れたのも今こうして穏やかに笑顔を見せてるのも、全部桐島禅のせいだって思うと辛かった
桐島禅だって…3年役員とだって、ホントはどんな仲なの?って聞きたいのにたぶん聞いちゃったら俺、立ち直れないんじゃないかって…
「やっぱ初恋って、実らないのかな…」
大きくため息ついてデスクに突っ伏せばサボるなってまこっちゃんに小突かれる。そこは優しく慰めるとこですよ!
「麻生の口から『初恋』なんて出てくる日が来るとは…。今まで散々遊んできた罰だな」
「桐島先輩は…、知ってたけど3年役員までとはねぇ。月夜、可愛いから
はい、昨日のお詫びだって!」
目の前に置かれた紙袋を開けてみれば焼き菓子のいい匂いとメッセージカード
『昨日はご迷惑をおかけいたしました。良かったらご登録お願いいたします』
これって…?2人が覗き込んで掛けてみなよ!!って笑ってて…。急いで番号入れてーーー、大きく深呼吸。コール音が1回、2回…手が震えてて嫌んなる
『はい、諏訪です』
「ーーーあの、お、俺です。…お、元気ですか…?」
『…麻生会計様、でいらっしゃいますか?昨日は大変ご迷惑をおかけいたしました。わざわざ掛けてくださりありがとうございます。失礼かと思いましたが何かご用の際に便利かと思いまして…』
「そのーーー、スッゲー嬉しい…、です」
つい漏れた本心に後ろからクスクス聞こえる笑い声。ジロって睨んだ俺の顔、絶対真っ赤だ
「いつでもいい、なんでもいい。月夜からも、電話して」
最初のコメントを投稿しよう!