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「父は生まれたときから居りませんでした。母は桐島さんのおじい様のーーー、兄にあたる家系の『桐島美月』です。すでに、他界しております…」
少し寂しそうにーーー、全てを言わなかったのは桐島家を思っての事。そうさせているのが俺で…俺の実家で…。いいんだと言うように視線の先で笑うのを、見ているしか出来ない俺がムカついてしょうがない
じゃあさ…?月夜を挟んだ二人が緊張した面持ちで見合って言葉を選んでいるんだろう。が、未だにどれから?どこまで?と月夜越しに揉めてーーー、高村がゴホンと咳払い一つ
「あのさぁ~、マズかったら言わなくて…。うん、言わないで!えっと…、諏訪ちゃんの保護者ってさぁ、ここの理事長…、で合ってるわけ?」
「ーーーはい。桐島さんのお屋敷を出てからお世話になっております」
「……で、だよ!いや…先に、ここのセキュリティって…ーーー」
「高村先輩のお父様に個人的にお願いしていると聞いております」
「「やっぱり…。ちなみに、その『理事長』って…」」
「??ーーー…南條真紀です」
「「………」」
項垂れる両サイドに困惑して俺を見て…、この反応も分からなくもない。さほどの事では驚かないこいつらがこんなに動揺しているのだから余程の事なんだろう。まぁ、一般人でも結構知っているし、特にこの学園では知らないもの等いないだろう。確かに驚くほどのビッグネーム。だが。こいつらの場合、他にいろいろと…思うところがありそうだ
「じゃ、じゃあ!!何か別のお話…、そうしよ!オニーサン達に質問とか??お礼に何でも答えちゃうよ!!」
強引に話を終わりにした高村と笑顔がひきつってる柏木。何にしてもこれ以上詮索もされないだろうと風呂場に行ってくる、と一声掛けてリビングを離れる
浴槽を軽く水で流しボタンを押せばお湯が流れ出す。相変わらず隅まできれいに掃除が行き届いていてーーー、月夜らしいとため息が出る。それでも…、ボトルのそばの二匹が寄り添うように並んでて…
いつの間にこんなん買ったんだ?よく見つけたな…
きっとPCで探したのだろう。見つけた時の姿を想像すれば小さい笑いが込み上がる
まだまだお互い、離れるのは無理だから。それでも大切な誰かを見つけた時は精一杯応援してやろう
ーーーっても、もしもそれが野郎で…。しかもあいつらの誰かだったら…応援なんて、出来ねぇぞ。なぁ?
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